現代アート①に続いて
猪熊弦一郎現代美術館 MIMOCA
<企画展> 中園孔二 ソウルメイト
夭逝の画家 中園孔二
約200点の作品群 過去最大規模の個展
撮影が可能な作品もあったので何枚かご紹介。
まだまだこれからを期待される才能あふれる若者だったに違いない。
彼自身もっと描きたかったのでは。
VTRの中の彼はとつとつと、作品や絵と自分の関係について語っていた。
一見今どきのどこにでもいる優しそうな青年。
でも、
彼の絵の前に立った時、辛くて、悲しくて、胸がギュッとした。
本能的に見るのが怖い、と思ってしまった。
絵が彼自身の内面奥底まで映す鏡のような。
彼の中に後から後からわきあがり、溢れ渦巻く圧倒的な量の凄まじい何かを全部カンバスに吸い取らせてるような。
カンバスはそれを全て受け止めてくれると彼は信じているから。
、、、絵のことはほとんどわからないド素人の呟き。
彼の作品については未消化のまま。
作品には無題のものが多い。
今回の個展ではタイトルの代わりのように、彼が残した言葉の断片が絵の合間に掲示されていた。
「自分にとっての絵や音楽は、自分の最も信頼できる他者であるということを、今日帰りぎわに思い出した」
「絵画は、描くものというより、関係を持つ“相手”である」
「自分が何かを作ったり、外にあるものを見たりするということは、世界に散らばっていった自分の一部を回収する、ことなんだと思う」
まだまだあった。
わかりやすいものも難解なものも。
でもあくまでも断片的だから、わかった気になるのも危険。
現代アートは私にとって刺激が強すぎる時がある。
豊島美術館
旅の最終日、高松港からフェリーで豊島(てしま)へ渡る。
瀬戸内海の島々を会場として3年ごとに開催される瀬戸内国際芸術祭。
2022年には第5回が開催された。
豊島もその会場の一つで島内には芸術祭参加作品が8つある。
「母型」内藤礼 2010年
天井が低く丸みを帯びた大きなコンクリートの建造物
(一滴の水が地上に最初に落ちた瞬間のような形、らしい。ちょっとつぶれた大福のようにも見えたけど)
天井には大穴がふたつ空いていて、青空や流れる雲、横切る鳥、樹々が見える
外の音、中にいる人たちの音(異様なまでに響く)も聴こえてくる
建造物の中に居ながらにして、外と繋がっている感覚。
コンクリートの床に寝転ぶと、暑い夏の陽射しで少しヒリついた肌にひんやりと気持ち良い。その床にある仕掛けも面白い。
雨の日はどうなるんだろう
冬は寒そう
と、無粋なことも考える
ぜひ体感してほしい。
豊島美術館はこの作品のためだけに作られた美術館なのだ。
LES ARCHIVES DU CŒUR
「心臓音のアーカイヴ」Christian Boltanski 2010
2008年から人々が生きた証として世界中の人の心臓音を収集
その数現在8万3千人以上。
真っ暗なハートルーム(私には音量が少しきつかった)には、収集した心臓音がその人のプロフィール映像とともに延々流れている。
一人一人の心臓音はこんなにも違うのかと驚く。これこそ個性。
そうしたら自分の心臓音も聞きたくなるでしょう?
国内 51021番目の登録者になりました。
自分の心臓と向き合ったあと建物の外に出ると、穏やかな瀬戸内の海。
透き通った水に洗われる小石。長い時間をかけて形を変えていく。
自分の心も体も余分なものを海に返して透き通っていく気がする。
私のコレクションが一つ増えました、四角石。
マルサンカクシカク完成です
この夏、香川県で出会ったアート達。
また訪れてみたい。