レッスン便り

リスト作曲『愛の夢』に再挑戦!〜その1

会社員Hさんのレッスンより

自分が弾きたい曲

Hさんは「自分が衰える前にどうしても弾いておきたい曲」をリストアップなさっていて『愛の夢』はその中の一曲。かつて習っていた先生に宿題として出されたものの、最初のところでつまづき、その後ウヤムヤに、、途中で投げ出してしまった曲なのだそうです。苦手意識が相当あるようでしたが、同じくらい弾きたい気持ちもありそうにお見受けしたので「少しずつ紐解いていけばいいじゃないですか〜」と水を向け、再挑戦決定!(その心意気が素晴らしいです〜拍手!)

この曲は元々、独唱歌曲「O lieb,so lang du lieben kannst! (おぉ 愛しうる限り愛せ)」として作曲されたもの。タイトルが情熱的ですねぇ。のちにリスト本人によりピアノ用に編曲されました。

Cantand〜歌うように

今日は4回目のレッスン
冒頭、中声部に出てくるメロディは歌うように、よく響かせたいフレーズです。左右の手でバトンタッチしながら、メロディを一本の線のように滑らかに繋いでいきます。1回目レッスンの時は、左右どちらの手で弾くか迷いヨロヨロした感じでしたが、4回目ともなると譜読みも進み、だいぶ慣れてきました。「こういう風に歌いたい(弾きたい)」というイメージがはっきりしているからでしょうか、とても歌心を感じます。いいですね。(かつてこの箇所で挫折したとは思えません。。)

26小節から、再び冒頭と同じようなメロディが出てきますが、音形が変化しています。今度はメロディを主に右小指で弾き、それ以外の指で伴奏部分を弾きます。右手はメロディと伴奏の2パートを担当しているわけです。現段階では、まだメロディとそれ以外の伴奏の音が交ざってしまう部分があったので、遅めのテンポで、それらを丁寧に観察しながら、どうすれば弾き分けができるかを一緒に実験、確認していきます。

譜読みを始めて日が浅い場合、どうしても特定の部分だけに注意が向いて、体全体のことを忘れがちです(慣れないうちは視野を広く持つのはなかなか難しいですね)でも、こういう段階だからこそ全体に気を配ることが大切です。手部を繊細にコントロールするには、それにつながる前腕、上腕、体全体の状態が大いに関わってきます。不要な力みは練習の進みの妨げにもなりかねません。必要な動きが十分にできる状態であれば効果的な練習につながります。

注意深く聴き分ける

今回はそれぞれの箇所に合わせ、幾つかの弾き方をご提案しました。その場ですぐにできなくても気にすることはありません。それよりも「違いがわかるかどうか」です。
Hさんが体全体にも関心を向けながらゆっくりと弾き方を探っているうち、はじめ私に指摘されるまで全く気が付かなかった、ご自分の音の違いがわかるようになりました。これこそが重要です!
私がそばにいられるのはレッスンの間、ほんのいっとき。それ以外の時間はご自宅で一人練習です。その際、自分の音を聴いて目標としている音に近づいているか、またはもう少し工夫&見直しが必要か?をHさんご自身で判断する必要があります。

レッスンの中でHさんは、いま弾いた音が伴奏部分にも関わらず、かなりキツい音色で音量も出しすぎていて、メロディ音を完全にかき消してしまっていることを正確に聞き取っていらっしゃいました。メロディがよく響いて聴こえてくる時との差もわかるようになりました。こうなれば、あとはお一人でも大丈夫。
練習の成果は次回のレッスンで確認してみましょう。

この日、Hさんは弾きにくい箇所として左手のある部分をあげていらっしゃいました。
この続きは、リスト作曲 『愛の夢』に再挑戦!<その2>で詳しく取り上げたいと思います

https://mikiohtsuki.com/21−10−28-2/