レッスン便り

大人の発表会

音を分かち合う

年に一回ペースで、Sola music studio在籍の生徒さんを中心に”音を分かちあう機会”を作っています。始めた当初はいわゆる”The 発表会”スタイルで、外部ホールを借りて開催していた時期もありました。けれど時間の流れと共に、生徒さん達の顔ぶれや、私の音楽に向き合う気持ちが変化していき、それに沿った形を模索しながら細々続け、今回で31回目となります。

これまでのプログラムを紐解いてみると、集いの名称が
『クリスマスパーティー』に始まり、クリスマス発表会、クリスマス会、ピアノ発表会、クリスマスピアノ発表会、クリスマスぴあの発表会、大人のためのドキドキ発表会、ピアノ新年会、新春発表会(かくし芸大会)、ヴァレンタイン発表会、、

この統一感の無さ!(笑)重複している回もありますが、迷走感が滲み出ていますね〜

特に、私がアレクサンダーテクニークと出会ってからはその傾向著しく「こうせねばならない」という発想から意図的に距離を取ろうとしているので、名称だけでなく開催の形式や内容もより流動的になりました。でも特に不都合はなく、毎回丸くおさまるのが不思議なところ。

音楽の共通点

ある回の副題『かくし芸大会』は半分冗談、半分本気。
発表する内容は、私が普段教えているもの以外でも良いからです。
ご本人から要望があれば、私もピアノやコーラス、リズム伴奏でお手伝いします。

音楽はジャンルの違いこそあれ、ずっとずっと奥底まで潜っていくと、おそらく根っこは同じ。私は音楽の中に鼓動や息吹など、生命力に繋がる何かしらを見出した時に幸せを感じます。
こちらの受け取りセンサーが働かないと、そのまま見過ごしてしまうかもしれませんし、構成が複雑な曲は理解するための努力が(それなりに)いるでしょう。
でも曲が単純だからダメ、とか初心者は無理、ということではないはず。

いろいろな音楽をいろいろな人が持ち寄る。
それらの音を分かち合い、自分の中に芽生えた気持ちとある時はふわっと、ある時はガッツリ向き合う。

そんな積み重ねが、音楽と自分との距離をより近づけてくれると思うのです。

風通しの良い関係性

ここ数年は大人の生徒さんが殆どなので、私の中では「先生と生徒」というより「音楽仲間」の方がしっくりきます。

アレクサンダーテクニークを学んでいる時、経験豊かで偉大な先生方にファーストネームで呼びかける、というカルチャーショックを経験しました(日本の教育現場ではまずあり得ないですよね)はじめは戸惑いましたが、馴染んでいくうち、上下関係とは違う同じ道を歩む同志と思えるような関係性が心地良かった。(呼びかけ方はあくまでその象徴のようなもの。実際は生徒のために細かく心を砕き、にもかかわらず謙虚であり続けるその姿勢に、尊敬の念は増すばかり)
そのおかげで私は、隔たりや反発、雑音に惑わされず純粋に探究内容に目を向けやすくなり、快適かつ創造的な「学びの環境」を得ることができました。

この経験から、一方通行ではなく双方向のやりとりがある風通しの良い関係性、
これがレッスンにも重要な要素の一つだと思うようになりました。

音楽の知識が多少あるからといって独りよがりにならないよう。(音楽以外も然り)
生徒さんに気付かされることは多いのです。ほんとうに。。

さぁ、演奏!

コロナ禍のため1ヶ月延期しましたが、集いの参加者8割がワクチン3回目終了、私も念の為PCR検査(陰性)を受け、その日を迎えました。

だいぶ前から寝不足気味になった人(目をつぶるとメロディが頭の中に浮かびグルグル)
当日朝目が覚めてから自分自身をモニターし続けた人(すごい!)
楽譜を家に忘れてきてしまった人(ご近所なので取りに戻ってセーフ)
などなど、てんやわんや!

演目はピアノソロ、独唱、合唱、フルート、連弾、弾き歌い

皆さん堂々と演奏なさっていました。各々のペースでしかと音楽に向き合っている堅実さが、音に表れていました。深みを感じました。素晴らしい。

集い、その後

発表直後や、後日レッスン時に参加者皆様の感想を伺いました。
まず、いちばん多かったのは「他の方達の演奏を聴き、すごく刺激をもらいました」というもの。私もそうです。

演奏する人⇄聴く人はお互いに作用します。
当日は緊張しつつも「音楽が好き」という気持ちが、ある種心地良い空間を生み出していました。そういう場で音楽を分かち合えるのは、なんと幸せなことでしょう。皆さんお互いに感謝ですね♪

他に寄せられたものの中で、昨年までと一味違うと感じた点は、ご自身を冷静に観察している感想が増えたこと。次回に向けた目標がより具体的になっていること、です。
さて、今後どのように生かされるか楽しみです。

一人で勉強する時間も大切ですが、分かち合いから学ぶことも多い、と改めて感じた今回でした。私も皆さんを見習わなくては!