レッスン便り

ピアノワークショップ『さまざまな視点をもつ』を終えて〜その1

毎年恒例12月に開催される神田音楽学校の発表会が、今年はコロナ禍で中止になってしまいました。「このまま年を越すのも何かやり残したような気がする…」という生徒さん達からの声を受けて、クラスごとに自由企画で何かしらやることになりました。

音楽との関わり方。プロ?アマ?

少し話がそれますが、ちょうどこの頃、毛色の違う(共演者、対象者が異なる)お仕事がいくつか続き、とりとめもなく音楽と演奏者の関係に思いを馳せていたら、ふとこんな図が思い浮かびました。

まぁ…音楽が2次元の小さな円に収まるわけはないですし、プロ、アマの定義もあやふやですが、そこは目を瞑っていただいて、それぞれの重なりについて。
Aはプロアマ共に楽しめる音楽要素
Bはプロだからこそ味わえる醍醐味
Cはアマだからこそ堪能できる部分
Dはその人の在り方、心の持ちよう。プロアマの境界があってないようなところ。(プロであっても、永遠にアマチュア精神を失わない。もはやアマチュアとは言えないレベルで特定の分野を極めていらっしゃる方、プロ意識の高い方etc.)

わざわざ図にするまでもないかもしれませんが、あえて視覚化することで、私が漠然と感じていたことを少し整理できました。

例えば、声楽愛好者(アマチュア)の方の伴奏をする場合。
Cその方の人生経験やお人柄が最も発揮されるところ。本番に向けて、技術的にもうひとおし!という部分があれば、伴奏者としての技術Bで可能な限りお手伝いしつつ、より輝きが増す方向A共に目指す、といったイメージ。こんな共演者とのやりとりに私は魅力を感じているのだと納得しました(そうでなければ何十年も続きませんよね)

「私はアマチュアだから、、」とご謙遜なさる方も少なくありませんが、Cに関して言えば、その人にしか出せない色、個性です。ですから上手とか下手という考えは何の意味もありません。とりわけ音楽の前では。

ワークショップのテーマを決める

音楽への関わり方も、いつもと違う立ち位置から眺めるのは面白いものだ♪そんなことを考えているうち、今回のWSテーマがひらめきました。

「さまざまな視点をもつ」

新しい角度から物事を捉える、現状を俯瞰するヒント、などは間接的ですが音楽をより深く味わうための助けになるはず。それをこのWSで皆さんに提示できないだろうか?通常レッスンでは触れないようなお話をあえてできたら、と考えました(今から思うと、この発想もすでにテーマに沿っていませんか?!)

お互いを知り、興味関心を持つ

大人同士で初対面だと(お子さん同士以上に)相手への配慮が働いて、消極的になりがちです。なるべくそうなりにくい環境を整え、生徒さんが一堂に会するという貴重な機会を生かす進行にしたい。

個人レッスンの場合、生徒さん同士の交流は稀で、せいぜい発表会の時に顔を合わせるくらい。しかも発表会では、ある程度仕上がった曲を演奏します。それ以前の未完成状態(通常レッスン)をお互いに見る事は、ほぼありません。
でも実はここが面白く、勉強になるんですよね。

仕上がっていく過程を観察

自分が弾いている時はそれだけで精いっぱいでも、他の人のレッスンの様子を見ている時はどうでしょう?おそらく客観的に観察する余裕がありますよね。自分と違う演奏スタイルを間近で見る、聴く、感じる、、共通点を見出してちょっとホッとしたり(先生に同じような指摘をされている、とか笑)嬉しくなったり。

模範演奏をしてくれる先生ではなく、同じように勉強している仲間の演奏は、共感しやすく、自分にとってのヒントもそこかしこにあるでしょう。

異なる価値観に触れる

大人のレッスンの特徴として、ご本人の好みや音楽経験によって、その内容はかなり個人差があります。神田音楽学校の場合はレッスンペース(毎週型と隔週型)により1回のレッスン時間も異なるので、それなども影響します。

ある程度まとまったこのような情報を交換するのも、お互いに刺激になるのではないでしょうか。また別の視点をもつきっかけになるでしょう。
自分の価値観、嗜好だけでは思いつかなかったけれど
「こんな風にやるのね、これならできそう。リズム練習も取り入れてみようかしら?」とか「あの人が弾いていた曲を弾いてみたい♪」「この曲、そんな解釈もあり!?」などと発展したら素敵だと想像しつつ。

そしてこれらのアイデアを煮詰めて、最終的に3部構成とすることにしました。

その2に続く。。

ピアノワークショップ「さまざまな視点をもつ」を終えて〜その2https://mikiohtsuki.com/perspective1/ 当日の様子 テーマに基づき内容はかなり絞り込めてきました...