子どもたち

ぼく〜谷川俊太郎の絵本 を読んで

この本を ぜひとも手にとって読まなくては と思いました

岩崎書店 死をめぐる絵本シリーズ 闇は光の母 第3作

ぼく

作 谷川俊太郎  絵 合田里美

テーマはこどもの自死

目を背けてはいけない現実だと 頭ではわかっていても

向き合うのは、そう容易い事ではありません

 

少し時間を遡ります

岡 真史

歌曲を通して 初めて彼の名前を知りました

彼が書いたいくつかの詩に曲がつけられていました

詩集は1976年11月25日に筑摩書房から「岡真史詩集 ぼくは12歳」として刊行されたものです

岡真史くんはその前年、自らの意思でこの世から旅立ちました

作品は 詩を書いた人、曲をつけた人、演奏する人、聴く人、それぞれの解釈や思いが重なって連なり出来上がっていきます

これまで幾度となくリサイタルのプログラムに入れようとしましたが、どうしても気持ちがついていかず…

ようやくあるリサイタルで一曲「みちでバッタリ」を取り上げました

その歌曲との出会いから ずっと気にかかっている存在なのです

 

そして今 私の手元にある

ぼく

谷川俊太郎/作 合田里美/絵

この拙文を書くだけでも逡巡してしまうのに

それを絵本にしてしまうという、、、

谷川さんご自身が、編集者とのやりとりを「真面目さ加減が桁外れ」と語っておられたように、制作に携わったすべての人々の使命感、必死さ、熱量を感じずにはいられません

ドキュメンタリー番組やオンライントークイベントをとおして、制作の裏側を知れば知るほど、渾身の一冊と思えます

そして絵本だからこそ、私も手に取る勇気がだせたのかもしれません

絵本にしかできない表現方法を突き詰めてくださったおかげで、、

断片的ですが、絵本出版にまつわる 谷川さん語録

・主人公 ぼく を(無意識に)生きているつもりで書いていた

・基本的に生きるのと死ぬのは一本道で続いて、断絶があるわけじゃないと思ってる

・自死は生きたいことの連続ではないか

・自分はひとりだと、子どもの頃から認識はしてた それは人間関係におけるひとり、ではなくて宇宙の中でのひとり(二十億光年の孤獨〜谷川さん10代の終わりに書いた詩に反映されている)

・社会的な孤独、ばかりに目を向けない 一人は悪いことじゃない

何十年も言葉と対峙してきた谷川さんの口から発せられる言葉は、どれも聞き逃したくないものばかり、まだまだご紹介したい

でもこうも仰っておられます

・今の人は言葉を信じすぎてる

・すぐ言葉をかけようとする

・言葉数が増えすぎている

・意味を信じすぎている

・それによって本当に大事なことが見えなくなる

これは耳が痛い、、自覚あります

すぐ定義付け、理由付けしたくなる
アレクサンダーテクニークの観点からも、あまり歓迎したくない兆候です

子どもの自死の原因について2020年度文部科学省資料によると

不明52.5% 家庭不和12.8% 進路問題10.6% 友人関係での悩み6.0% いじめの問題2.9%

原因不明が五割を越えているという事実に驚きます

東京自殺予防センター理事の村明子さんいわく「周りの人が死にたいかどうかなんて全然わからない」これは大人も含めてです

だからこそ
思い込みや決めつけで わかった気になってはいけないということ

やっと「ぼく」を手にとって
(手元に届いてから本を開くまで かなり時間がかかりました)
岡くんにも改めてふれて

そのことだけは心しようと思いました

私なりの答え、今の気持ちです

思い続ける

ただ黙ってそばにいる

私にできるのは それだけです